蒼い森 Caol Áit

Míċeál Hishikawa の研究ノート

2018年刊
▶︎『教養主義の残照』(開文社出版、2018年3月31日)

2017年刊
▶︎『ケルト文化事典』(東京堂出版、2017年5月26日)
▶︎『ボブ・ディランの詩学』BCCKS版紙本

2016年刊
▶︎『アイルランド語の「主の祈り」』(Kindle)
▶︎『義と利:『詩章』第74歌』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎ 'Not Out on Interest: David in Canto 74' (iBooks, Kindle)
▶︎『パウンドとヘブライ詩』 (Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎ 'Parallelism in Pound' (Kindle, iBooks)
▶︎『エリオットの伝統論とパウンド』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎『詩における句の考察: アイルランド語の4強勢詩行』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎ 『初めての電子出版: Kindle, Kobo, iBooks』(Kindle)
▶︎ ‘Seacht Sólás na Maighdine’: Sources and Versions (iBooks, Kindle)
▶︎『連鎖の感覚:マリア賛歌とチェーホフ』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎『シャン・ノース 秘密の唱法:ジョー・ヒーニの場合』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎『Óró オーロー:アイルランド語の知識ゼロでわかる伝統歌 'Óró 'Sé do Bheatha ‘Bhaile'』(Kindle, iBooks, Kobo)
▶︎『アイルランド語コピュラの記憶法』(Kindle)

既刊▶︎『真夜中の法廷』(彩流社、2014)

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A Filetta, Intantu (Virgin, 2002)

AFiletta-Intantu

 コルシカの宝。
 人間の声の奥深さ、気高さに心から賛嘆を禁じえない。

 いわゆるコルシカ・ポリフォニーについては植野和子著『カタルーニャバスク、コルシカ 魂のうたを追いかけて』(音楽之友社、2002)にくわしい。 収録曲――

  1. U casticu
  2. Paghjella
  3. L'arditezza
  4. Makharia
  5. A paghjella di l'impiccati
  6. A canzona di a malata
  7. Cose viste
  8. U sipolcru
  9. Tra' i debbii maiò
  10. E loche
  11. Kyrie
  12. L'anniversariu di minetta
  13. Sub tuum
  14. Caracolu di brame
  15. Sumiglia

 

 参加アーティスト――

糸井重里『インターネット的』PHP新書、2001)

Itoi-InternetTeki

 糸井重里が初めてコンピュータやインターネットに接したときの驚きに満ちた、新鮮な、深い考察がぎっしり詰まった本だ。いま読んでも古くないどころか、日常をこれらの仕組とともに生きる現代人が一度は目を通しておくほうがよいと思われるほどの、思考の糧がいっばい入っている。

 私は本書を(再ダウンロード期限切れなどもあり)電子書籍で二回購入したけど、何度でも、どんな形ででも買って読み返したい。紙の本としては「品切れ重版未定」なので、紙の本が必要であれば古書店や図書館で探すしかない[その後、書き下ろしの「続・インターネット的」を収録したPHP文庫とその電子書籍が出た]。電子書籍でよければ、ほとんどすべての電子書籍店で入手できる。

 題名は「インターネット」ではなく「インターネット的」であることにおやと思わされる。ネットワークについての技術書が扱うようなインターネットそのものの話ではなく、インターネット的であるとはどういうことかについて、一から考え抜いたものだ。考察の対象は多岐にわたるが、共通しているのは、ふつうの人が生きていくうえで何が大事なのだろうという、ごく当たり前の観点だ。常識的ともいえる観点だろうけれど、考察の結果得られた洞察はまったく常識からは外れていることが多い。たとえば、「お客様は神様です」とはとんでもないことで、ルールでもなんでもないとか。

 参考になった点は数多い。気になったところを抜書きしておくことにする。できるだけ、評者のコメントも添える。以下の20点は繰返し考えているので、以後の言及に便利なように、番号を附す。

  1. インターネットの両端で、人と人が、ちゃんとリンクしている。〉……つまり、鎖の片方を振れば、他方が揺れるということ。

  2. 一見、不要な情報からのつながりに可能性を見出せるということが、「リンク」という考え方にはある〉……人がいろんな要素の集合体だからこそ。人間はいわば多面体。「消費者」だけっていう人は存在しない。別の局面では「生産者」であることも大いにあり得る。

  3. 自分ひとりだけでできる趣味や快楽なんてものは、ほんとはあんまりありません。〉……大切な鍵は「シェア」、つまり、「おすそわけ」。

  4. 分けあうということは、なぜかは知らねど、楽しい、と。その「シェア」というよろこびの感覚がインターネット的なのです。〉……分けあうって楽しいと思えない人もいるだろうけれど、楽しい人がいるのも事実。

  5. 情報はたくさん出した人のところにドッと集まってくるんだ、という法則があるのです。〉……もらってばかりの人はいつまでたっても「少しもらう」だけ。

  6. 価値が多様化するというよりは、価値の”順位付けが多様化する”〉……これが「フラット」。各人が自分の優先順位を大事にしながら役割をこなす、船の乗組員たちの集合のような社会のイメジ。

  7. 「想像していたよりも、世界は広い」と驚きを感じることと、「思っていたよりも世界は狭い」と感じることと、まったく逆さの二種類の驚き〉……これが「グローバル」。

  8. "Only is not lonely"〉……英語としてはおかしいといわれたらしい。本来は 'Only one is not lonely one.' といいたかったのを簡略化したそう。つながりすぎないで、つながれること。孤独なんだけど、孤独ではないこと。

  9. 枯渇するのではないかとか、後でもっといい使い道があるとかを考えずに、出して出して出し尽くして枯れたらそれでしかたがない、というくらいの気持ちがないと〉……惜しみなく出す、の精神。

  10. 銀と毛〉……「トダの夢」に現れる対比。音楽でいうと、テクノ系は銀、8ビート系は毛。野球選手は毛が多いが、イチローは銀。サッカーだと中田英寿は銀。毛は野生度(ワイルド)。

  11. 人類の歴史はいままで、毛を消し去る方向に、一方的に進んできた〉……「脳化社会」が進んできたということ。毛系の糸井は、すべての人間の銀化には無理があると考える。

  12. 『ほぼ日』はインターネットという、非常に銀に思われやすいメディアを、毛として使っていくという意志を持ってつくっているような気がする〉……人類の歴史は、インターネットの発達によって、バランス良く、”心の増毛”方向に反転してゆく。

  13. 自分の中の他人成分を立ち上げると、いままで見えなかった部分がクリアに見えてくるのではないでしょうか。〉……ちがう視点で周囲を見つめる。

  14. 問いがあったら答えがすぐ近くにある、というクイズのような問題ばかりを、いままでのメディアは取り上げてきましたが、実際の人間たちは、答えのない問題についてしゃべったり考えたりする場を求めていたのではないでしょうか。〉……ネットや携帯や長居のおしゃべりの中になにかがある。

  15. もっと「魂」に関わることに、人間の意識が向かっていくように思えます。〉……「勝ち」や「目標」だけを求める「脳」に対して、「人間まるごと」が反乱を起こす。

  16. 山岸俊男さんの『安心社会から信頼社会へ』が『ほぼ日』の母なら、梅棹忠夫さんの『文明の情報学』は『ほぼ日』の父にあたります。〉……前者は「正直は最大の戦略である」。後者は神経系だけでなく筋肉系や内臓系に関わる感覚。脳はすべてではなく、単に神経系。人間は総体で考えるべし。

  17. 「魂(スピリット)の社会」〉……筋肉系の工業化社会 → 神経系の情報化社会のあとにくる社会。

  18. ”目的があって、いいね”というのは、いわゆる、工業生産的な発想なのではないでしょうか?〉……「ものを持つ・力を持つ満足」の工業化社会から「ことを持つ・知恵を持つ満足」の情報化社会を経て、持つことから自由になった「魂を満足させることを求める」社会へ

  19. 電車の中で、高校生のカップルがブレザーとセーラー服のままで、じっとおたがいを見つめているような風景が、ぼくはイヤじゃないんです。あそこではそれなりに気持ちが通じ合っている。他の誰にも通じない何かがあるんですよ。心は動いています。恥じらいや社会的約束事をぎりぎり守りつつ、居てもたってもいられないという表情で見つめあうふたり。そういうものとして存在する文章があっても、いいでしょう?〉……インターネット的表現法。

  20. ぼくの理想的な臨終の言葉は、「あああ、面白かったーっ」です。〉……自分はほんとは何がしたいんだろうかと、ごく自然に、みんながちょっとずつ考えるだけで、あちこちに風穴があいてゆき、呼吸がらくになる。

 

 抜書きはこれでおしまい。第3回目の購入までこれで憶えておくことに。


オリジナル版 ↓

インターネット的 (PHP新書)
糸井重里
PHP研究所
2007-11-13


上記に「続・インターネット的」を加えたPHP文庫版の電子書籍 ↓

インターネット的 PHP文庫
糸井 重里
PHP研究所
2014-11-21





関連書籍



情報の文明学 (中公文庫)
梅棹 忠夫
中央公論新社
1999-04-01


 この逆をやっても話題にもならないだろう。「koboでは読めないKindleの名作」とか。

 koboでしか読めない電子書籍は以前からあった。だけど、それだけの理由で話題になることも、あまりなかった気がする。

 Kindleで出てない本というと、概して地味な本が多い。けれども、koboを持っている喜びがしみじみ味わえるのはその種の電子書籍の場合だ。

 能書きはともかく、挙げてみます。紙の本ではなく、電子書籍として、Kindle では手に入らず kobo で手に入る本。なるべく安価な本を挙げます。[以前はその種の電書がいろいろありましたが、現在では次の1点のみしか挙げられません。なにか見つかれば追加します]

実吉捷郎訳『トーマス・マン短篇集』(古典教養文庫


ThomasMannStories


 これは 
Kindle で読めないことが驚き。青空文庫のものをベースに、語句を現代風に改めたりしてある。全部で6編。わずか100円。

 紙の本だと同じ訳者による、初期短編17編を収めた『トオマス・マン短篇集』(岩波文庫)が出ている。


亀井秀雄太宰治津軽テクストの無意識(1)』(オピニオン・ランチャー叢書)


Kamei-DazaiTsugaru


『感性の変革』で著名な文学研究者、
亀井秀雄の本はあまり Kindle で読めない。kobo ではかつて4冊出ていた(ここに挙げた1冊は今は見当たらない)。固定レイアウトePubで、リフローでないから、どちらかと言えばタブレットなどで読むほうが向いている。正直、レイアウトは読みやすくはない。大きなタブレットを縦置きにしてやっと読める。1行が長すぎるので、これ以外の読み方がほぼない。もし、再版されることがあれば、やはりリフロー形式(文字の大きさが可変)でお願いしたい。

 本書は、心温まる回想記として読まれてきた「津軽」について、太宰が実際には「再会したタケとほとんど一言も言葉を交わしていない」ということを指摘し、そこから〈創作〉としての「津軽を論じたもの。内容自体は興味深い。(発売時価格:300円)


トオマス・マン短篇集 (岩波文庫 赤 433-4)
トーマス・マン
岩波書店
1979-03-16


Ennio Morricone and Clara Murtas, De sa terra a su xelu (From the Earth to the Sky) (Teatro del Sole, 2002)

DeSaTerraASuXelu

 巨匠モッリコーネがサルデーニャの歌手クララ・ムルタスのために作編曲し、指揮した珠玉の作品。
 2 曲はモッリコーネの作曲で、1 曲は伝統曲を彼が編曲したもの。

 全世界で 2000 枚の限定盤だが、さいわい 1887 番を入手できた。〔ほかに D'autore レーベル盤や MP3ダウンロードもある。〕 

 収録曲――

  1. Fuga dal presente
  2. Ave Maria
  3. In forma di Stella

 

 主な参加アーティスト――

  • Ennio Morricone (direction)
  • Clara Murtas (vo)
  • Nuova Roma Sinfonietta (orch)


     ベスト・トラックは 'Ave Maria'。
     本盤は全部で 16 分ほどの短いものながら、この 1 曲のためだけでも、入手する価値がある。というか、そもそも、この曲を編曲してもらえないかと、クララがマエストロに頼んだのが発端なのだ。

     サルデーニャの古い <アヴェ・マリア> の 'Deus ti salvet Maria' は彼女にとって特別な曲であるに違いない。モッリコーネの編曲は、伝統にとらわれない実に斬新なものであるにもかかわらず、ムルタスはまったく動じることなく歌い、この聖歌のいのちを現代に見事に息づかせる。類稀なるコラボレーション。



    De Sa Terra a Su Xelu
    Morricone
    D'autore
    2013-04-18




エドガー・アラン・ポー『ポー詩集―対訳』岩波文庫、1997)

Poe-Kashima

 岩波の対訳詩集の中でも異色。通常は研究者としての解説などが附くが、本書の解説は詩人として感じたことを書く。翻訳や註釈より、この詩人がポーをどう読んだか知りたい場合に好適。

 ただし、大急ぎで付加える必要があるが、原詩を精密に読み解きたい、そのためには韻律や文法について、現在までの研究の成果を反映したような詳細な註も読みたい、という場合には、たぶん本書は不適である。

 本書で得られるのは、詩人加島祥造訳のポーの詩と、各詩に対する自由な感想であって、それ以上でもそれ以下でもない。

 だから、よいほうに働けば、詩人ならではの感性に裏打ちされた読みが味わえるし、よくないほうに働けば、語学的にもポー学の水準からいっても、あまりかんばしくないものしか得られないことになる。

 ひとつ、非常によい箇所がある。ポーに対する受容史にかかわることが「はじめに」の中に書いてある。ここに、W. B. イェーツの言葉がある。彼はポーを「古今東西を通じての偉大な抒情詩人」と言っているのだ。これは控えめに言っても驚くべき話だ。そういう目で訳者はポーに向かい合っている。


ポー詩集―対訳 (岩波文庫―アメリカ詩人選)
エドガー・アラン・ポー
岩波書店
1997-01-17


「現代詩手帖」2018年8月号

GendaiShiTecho201808

[特集]海外からの風

ル・クレジオ「詩の魅力」は東京での講演(2018年4月15日)を収めた2回連載の第1回(中地義和・訳)。オルペウスとエウリュディケーの神話を物語るラテン詩人ウェルギウス『農耕詩』第四歌のヴィクトル・ユゴーによるフランス語訳。詩の魅力=魔力を例証するギリシア・ローマ文化における最良の例として。歌と詩との結びつきは人を魅惑する力を持ち、神に同意を求め、魂に恩恵をもたらすはずであるが、同時に危険をもはらむ。

マイケル・ロングリー「贈り物の箱」
茶室ではぼくらのサイズは完璧に規格はずれだ
でもそれは、たったひとつの茶碗の周りに座るまでのこと、
一期、一会、水のリボン
そして一瞬浮かぶ濡れた葉っぱの表意文字、お茶。

片岡義男「What's he got to say?」
ディランのNo Direction Home論だ。邦題がないので彼は仮に「帰路無道標」と。ディランの詩作の秘密にさらりと触れたあと、人に語ってその人をつき動かすなにごとかとは何かを語る。〈自分があるかないか〉この平凡な言い方から引き出せるのは言葉だ。〈なにか言うためには、言葉が必要だ。〉

片桐ユズル、アーサー・ビナード「詩が思想であったとき」
ディランの詩の歴史に興味ある人は多いと思うけれど一つの分水嶺が1980年12月8日(ジョン・レノンが殺された日)とは知らなかった。(片桐ユズルが詩を書くときは「詩と思われないように、詩を逃げて書く」話から)ディランが逃げて書き始めたのはその時からだとアーサー・ビナード。処刑される一歩手前で予言を止める。



峯澤典子「始源へのまなざしを宿した言葉とともに」
須賀敦子『主よ 一羽の鳩のために』を評して
〈一人でいるときに真に受け取れるもの。それは沈黙ではないだろうか。沈黙という祈りの時間は、詩を生み出す豊かな土壌なのだと、本書は凛とした佇まいで示している。〉と。私はその凛たる詩心を須賀の手書きの字にも感じるが、ともあれ、〈六十年前に書かれた諸篇は今読んでも、というより騒音の溢れるこの時代に読むからこそ新鮮に、清冽に響く〉にはまったく同意する。




Tomás Ó Gealbháin, Caoimhín Ó Fearghail, Seán Ó Fearghail, Lá ag Ól Uisce (2013)

OGealbhain-La

 アイルランドのピュアな伝統音楽がぎっしり詰まったアルバム。

 つまり、まさに「ピュア・ドロップ」だ。聞けば聞くほど良さが深く味わえる。流行の音作りとは一線を画し、伝統音楽としての正道まっしぐら。しかも、楽しい。うっとりするくらい美しく、躍動的。

 この三人はアイルランド南東部のウォーターフォード県の出身。アルバム・タイトル 'Lá ag Ól Uisce' は英語に直訳すると 'A Day Drinking Water'. 「水を飲んでいる日」つまり素面の日(という珍しい日)ということだろう。

 パイプスとフルートなどを担当するクィーヴィーンとフィドル担当のショーンの兄弟は同県のアン・ライン(An Rinn)出身。アン・ラインは英名 Ring というところで、同県の伝統音楽の中心地の一つ。もう一人はアコーディオンのトマース。

 彼らの出身地方はゲールタハトのナ・デーシェ(na Déise)といい、ニクラース・トービーンのような偉大な歌い手を輩出している。

 このアルバムはゲストが超豪華。歌が3曲入っているが、いずれも名人か名人級の歌い手たちだ。

 ジミー・オキャナワーィンはオリアダ杯獲得(2011)、ネル・ニフローニーンは本盤の後だが同杯獲得(2014)、キアラーン・オガルヴォーィンはバンド Danú での数々の名唱で、それぞれ知られる。

 伴奏で参加しているドーナル・クランシーやドノハ・ゴフも Danú のメンバーだった。

メンバー

  • Caoimhín Ó Fearghail (Uilleann Pipes, fl, g)
  • Seán Ó Fearghail (fiddle, concertina, bouzouki)
  • Tomás Ó Gealbháin (accordion)

 

ゲスト・アーティスト

  • Nell Ní Chróinín (vo)
  • Jimí Ó Ceannabháin (vo)
  • Ciarán Ó Gealbháin (vo)
  • Eimear Ní Fhathaigh (concertina)
  • Donal Clancy (b, g)
  • Donnchadh Gough (bodhrán)

 

トラックリスト

  1. The Rainy Day / The Sword in Hand / Toss the Feathers [reel]
  2. The Stone in the Field / Diplodocus / By Golly (Jim Neary's) [jig]
  3. The Glen Cottage Polka / Clare’s Dragoons / Baker’s Dozen [polka]
  4. Tá Dhá Ghabhairín Bhuí Agam [song: Nell Ní Chróinín]
  5. Port Seán Gabha / An Páistín Fionn [jig]
  6. Micho Russell’s / Ríl Liatroma / Girls Will You Take Him [reel]
  7. Quilty Shore / Cailleach na Tuirne [jig]
  8. Ríl an Spidéil / Queen of May / Gillespie’s [reel]
  9. Eochaill [song: Jimí Ó Ceannabháin]
  10. The Pipe on the Hob / Born for Sport / Cathaoir an Phíobaire [jig]
  11. Humours of Tuamgreany / The Mountain Groves [hornpipe]
  12. Tie the Bonnet / Ríl Dharach De Brún / The Reel of Bogie [reel]
  13. Ráiteachas Na Tairngreacht [slow air]
  14. Táim in Arréars / Drops of Spring Water [slip jig]
  15. Máirtín an Bháille [song: Ciarán Ó Gealbháin]
  16. The Fly in the Porter / Paddy Fahy’s / Old John’s Jig [jig]
  17. The Morning Dew / Garrett Barry’s Reel / Michelle O’Sullivan’s [reel]


トラック1のリール 'The Rainy Day / The Sword in Hand / Toss the Feathers' (SoundCloud)
 
トラック2のジグ 'The Stone in the Field / Diplodocus / By Golly (Jim Neary's)'



クィーヴィーンとショーンの兄弟だけのリールの演奏


 ぼくは本盤をタムボリンから入手した。アイルランドなら Claddagh Records や Custy's Music などからも買える。

 もしも、
アイルランド伝統音楽に興味ある中学生か高校生に〈なにかいいCDないですか?〉と訊かれたら、ぼくなら〈手に入るうちにこのCDを!〉と即答する。今ピンとこなくても、10年後、20年後にはきっとわかる。10年に1枚級のアルバム。

エミリー・ディキンソン『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉』岩波文庫、1998)

Dickinson-Kamei

 岩波の対訳詩集としては標準的な訳と註です。

 春霞ととられがちの 'haze' をディキンスンは夏の終りの現象として詠うと捉えるのは卓見です。これは 'Besides the Autumn poets sing' (131) の詩の4行目に出てきます。第1連全体を引用します。

Besides the Autumn poets sing
A few prosaic days
A little this side of the snow
And that side of the haze--

 これは亀井訳では次のようになります。

詩人たちのうたう秋のほかに
いささかの散文的な日々がある
雪のちょっぴりこちら側
靄(もや)のあちら側の日々――

 この4行目に附けた註は秀逸です。

靄(haze)は春に生じることの多いものであろうが、ディキンソンはこの一つ前の詩〔130〕でも夏の終わりの現象としてうたっている。その「あちら側」とは秋の日々。

 'haze' を春の現象と見てしまうのは英詩しか読んでいない人に起こりがちの誤りで、米国では事情が異なります。

 この註じたいはよいのですが、ここの構文の取り方には賛成できません。1行目の 'sing' の目的語をその前の 'the Autumn' と取っているわけですが、そうすると、必然的に2行目の前に 'There are' などを補わなくてはなりません。20世紀以降の現代詩ならそれでもよいでしょうが、19世紀のディキンスンでその構文はふつうにあり得るでしょうか。現行のテクストに添うかぎり、'sing' の目的語は次行の 'A few prosaic days' 以下と取るべきです。

 エメラルドの空の詩(219)も収録しています。




Archie Fisher, A Silent Song (Red House Records, 2015)

Fisher-SilentSong

 スコットランドの至宝、アーチー・フィシャーの2015年盤。

「待望の」という形容詞がアーチーほどふさわしいシンガーはまたとない。歌もギターも、ともにフォークシンガーのお手本。深みがあり、音楽性に富み、どの曲を聴いてもいぶし銀のような魅力にあふれている。

 これまでも駄曲は一切なかったし、それは本アルバムでも同様。今回は全12曲を米国で録音している。声もギターも、すばらしい音質で録れている。実は今までの録音だとギターの低音弦はなかなか満足ゆくものでなかったのだが、本盤はきれいな音質だ。

 どの曲もいいけれど、あえてベスト・トラックを挙げればトラック8 'A River like You' だろうか。スコットランドの Ian Davison 作の歌だ。ハーモニー・ヴォーカルをつける Linda Richards の声もすばらしい。作曲者についてアーチーはこんなコメントを書いている。

A tender moment from one of Scotland's most consistent and talented songsmiths.

スコットランドの最も堅実で才能ある歌作りの一人」って、それはアーチー、あなたのことではないかと言いたくなるが、その彼がここまで褒めるだけのことはある。

 本盤には他人の曲や伝統歌以外にアーチー作の歌が5曲収められている。

トラック8 'A River like You' を Celtic Roots Festival で唄っている映像



Silent Song
Archie Fisher
Red House
2015-09-18


松下幸之助『道をひらく』PHP研究所、1968)


Matsushita-Path


自分に全く関係ないところで、自分に全く関係ないと思う事が起こって、だから自分には全く責任がないと思うことでも、よくよく考えてみれば、はたして自分に全く責任がないと自信をもっていうことができるであろうか。

キリストは、その時代の見も知らぬ人びとの責任も、すべてわが身に負い、そのうえに、後の世につづく数知れぬ人びとの責任をも、その気高いまでの魂で、一身に引きうけた。

 

せめて、自分に責任あると思うことまでも、他人のせいにすることだけはやめにしたい。


--松下幸之助『道をひらく』(PHP研究所、1968)より

 

(ひとこと)
 小宮一慶氏(経営コンサルタント)が寝る前に必ず松下幸之助『道をひらく』を読むことを長年続けているとTV番組で語った。繰返し読んでもなお勉強になるとのことを聞いたので、それではと読み始めた。
 確かに何度読んでも参考になる。
 上のことばにキリストが出てくるが、松下幸之助仏教徒辯天宗)である。それでも、これほど深くキリストを理解していることに感銘を受ける。


道をひらく
松下 幸之助
PHP研究所
1968-05-01


道をひらく
松下 幸之助
PHP研究所
2010-06-04