世代間格差を歴史を語らせる装置として40代、50代のユダヤ女性の人生、恋、宗教を闊達に描く。こうでもあり得たのではとの悔悟の念も痛切に浮かび上がらせる。見事な劇作品。

Wendy Wasserstein, 
The Sisters Rosensweig
 (Mariner Books, 1994)

wendy

 1989年にトニー賞とピュリツァ賞とを The Heidi Chronicles で受賞したウェンディ・ワサスタイン(1950-2006)の、戯曲としては5番目の作品 The Sisters Rosensweig (1992) は、1992-93 シーズンのベスト・ブロードウェー・プレー賞を受賞している。

 現代アメリカ演劇を代表する作家でありながら、知るかぎりではその戯曲はひとつも翻訳が出ていない。出ているのは2005年の Sloth: The Seven Deadly Sins という、まじめだか、まじめでないのか不明の書のみで、『怠惰を手に入れる方法』の題で翻訳されている。まことに嘆かわしい状況としか言えない。

 本書は100ページあまりの作品ながら、充実した中身を知的で刺激的な言語で綴った戯曲として高く評価できる。三人の姉妹のうち、離婚した銀行家の長女 Sara が、主婦の次女 Gorgeous や未婚のジャーナリストの三女 Pfeni 及び独身男性 Mervyn らと交わす言葉に、ロマンスなど要らないと嘯いていた自信のゆらぎが滲む。

 なお、1992年の初演時に、この Mervyn 役の Robert Klein が Outer Critics Circle 賞を受賞している。


The Sisters Rosensweig
Wendy Wasserstein
Dramatist's Play Service
1997-10