Robert Galbraith, Career of Evil (2015)

Career_of_Evil_Oct_2015

 Cormoran Strike シリーズの第3作。

 いつもながら、読み終わるのが惜しいと感じられる。いつもながら、唸らされる。これも傑作と数えてよい。

 本作は犯罪小説としては異色のものだ。探偵ストライクが片足を喪っていることそのものが犯罪の動機となったかのような事件が続発する。探偵事務所に女性の片足が送りつけられるところから始まり、次々と謎の殺人事件が起こる。

 最初に送りつけられた足の女性はストライクに足の切断方法を訊こうとする手紙を書いていた。が、ストライクはこれを彼を陥れるための何者かの企みではないかとにらむ。

 送りつけられたのはストライク本人宛てでなく、助手のロビン宛てだった。そのことから、ストライクはロビンの身の安全にも懸念を抱く。調査するロビンを何者かが狙っていることがだんだん浮かび上がってくる。

 この不可解な事件の進行と同時に、間近に迫ったロビンの結婚式の準備も進む。婚約者のマシューはストライクを嫌っている。

 ブルー・オイスター・カルトの歌の歌詞にからめたような殺人を繰返す犯人に対し、ストライクは容疑者を3人にしぼって徹底的に調査する。だが、その推理を警察は斥け、捜査の邪魔をしないようにストライクに厳命する。

 こうした様々の状況がストライクの手足を縛り暗中模索をつづけるなか、クライマクスへと向かう兆しが仄かに見え出すのが全体の8割を超えたころ。そこからは一気に怒涛のような展開が待っている。

 英語の味わいが素晴らしい。紅茶に関する書きぶりはいつもながら嬉しくなる。

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 読者が頭の中で映像化している通りのドラマが作られそうだ。BBC One で全3作がドラマ化されることになり、配役が発表された。Cormoran Strike を Tom Burke が、Robin Ellacott を Holliday Grainger が演じる。実際のロンドンの街でどう展開するか、見ものだ。

BBC1-Strike