南和友『蘇活力』アチーブメント出版、2013)

sokatu

感動するときには交感神経が活性化 

 著者は自律神経を整えて血流をコントロールする健康法を提唱する。

 自律神経は交感神経と副交感神経の二つからなる。

 感動するときには交感神経が活性化して、アドレナリン(活動ホルモン)が出る。その後、副交感神経が優位になり、エンドルフィン(快感ホルモン)が出る。

 ここで大事なのは「その後」の部分。交感神経が刺激されたあと、時間差で副交感神経が優位になる。

 この仕組をよくわきまえて自律神経を整える方法が多くの具体例で説明され、わかりやすい。

自律神経を緊張しにくくする

 人間の寿命は120歳くらい。病気や怪我をしなければ、その年齢までは生きられる。

 自律神経を鍛える(=自律神経の閾値をあげる、自律神経が緊張しにくくする)と、自己治癒力が高まり、(がんを含む)病気になりにくくなる。

自律神経を鍛えるには

 自律神経を鍛えるにはどうするか。それこそが、本書の第3章以降の白眉だ。

 著者は9つの習慣をあげる。

  1. 生活のリズムを整える
  2. 食事は腹八分目
  3. 運動をする
  4. 五感を使う (←まず始めるならこれ)
  5. 呼吸を意識する
  6. 感動する
  7. 情熱を持つ
  8. 薬はほどほどに
  9. 休暇を取る

 9つの習慣は相互に関連する。できることから少しずつ始めるといい。

 多くは医師から聞くと納得する事柄だけど、4, 6, 7, 8 には少しびっくりする。

 特に、「6. 感動する」の説明は圧巻だ(71頁)。その説明に感動する。

 第4章からは血流の話が出てくる。ごく簡単にふれると、自律神経のバランスを保ち血流をコントロールするには一歩立ち止まる。つまり、敢えて休息を取る。

 第6章では骨密度を高くする生活習慣をとりあげる。18歳以降、骨密度は下がるだけなのでどれだけ維持できるか。ミネラルの摂り方、「食べ方」、運動など。

 第7章は頭をボケさせない暮らしの話。「涙もろさは黄色信号」など。

 最後の第8章はよい医者えらび。日本の医療の現状にもふれる。

 本書は全体として健康を維持するためのさまざまな知見やアイディアが満載だ。ただひとつ欠けている面があるとすれば、高城剛の本にも出てくる21世紀の健康概念としてWHOが承認したという霊性の問題だろう。