語学の達人に聞いた二つの方法。


「語学の達人に聞いた"読み"の上達法2つ」

 簡単にまとめると、

  1. 音読のときに同時に意味が頭に入ってくるようにする。
  2. これはという文章を1段落、覚えてしまうまで読む。

こういうことなのだが、ぼくは実はこの2つをまとめてやっている。方法は簡単で

  • 1段落の文章を音読し、覚えこむ。

というものだ。音読の際に意味が完全に頭に入っているようにする。


ピアスの文章

 この例としてピアス(Pádraic Pearse, Patrick Pearse)(*)の文章を一段落。

Bhí sean-Mhaitias ina shuí le hais a dhorais. An té ghabhfadh an bóthar, shíleadh sé gur dealbh cloiche nó marmair a bhí ann — sin nó duine marbh — mar ní chreidfeadh sé go bhféadfadh fear beo fanacht chomh ciúin, chomh socair sin.

 このアイルランド語が直読直解で暗誦されるまで読む、という単純作業だ。短篇小説「イーサガーン」 'Íosagán' の冒頭の一節。何度も熟読に値する、美しい短篇。英愛対訳版が便利だ。Kindle 版も出ている。ただし、紙冊体だと見開きの対訳(左に英訳、右にアイルランド語原文)なのに、Kindle 版だと英訳が先にきて、アイルランド語原文が本の後半にくる。そういえば、Kindle で見開き対訳のような形式のを見たことがない。何とか実現してほしい。

(*)アイルランドの詩人、作家。復活祭蜂起の指導者。ダブリンのピアス駅はピアス家にちなむ。

pierce








辞書の使い方

 ぼくはその作業の際、意味を特定の他の言語には置換えずに、このまま理解している。だから、意味を考えるときに、辞書はできればその言語で説明してあるものの方がいい。

 たとえば、上の文中で 'dealbh' がわからなかったとする。そのままアイルランド語で説明してある辞書を引いて、それを写しておく。

dealbh: fíor duine nó ainmhí agus í déanta amach as cloch nó adhmad nó miotal.

 もし、意味を忘れたら、これを参照すればいい。上の語義説明は An Foclóir Beag のもの。オンライン版もある(無料)。

focloirbeag




英訳

 アイルランドの詩人ジョーゼフ・キャンベル Joseph Campbell (アイルランド語名ショーサヴ・マクカハウィール Seosamh Mac Cathmhaoil) の美しい英訳がある。アイルランド語の勢いをそのまま移し変えたような見事な訳だ。

Old Matthias was sitting beside his door. Anyone going the road would think that it was an image of stone or of marble was in it — that, or a dead person — for he couldn't believe that a living man could stay so calm, so quiet as that.

 

Short Stories (Classics of Irish History)
Patrick Pearse
Univ College Dublin Pr
2009-05-15