この逆をやっても話題にもならないだろう。「koboでは読めないKindleの名作」とか。

 koboでしか読めない電子書籍は以前からあった。だけど、それだけの理由で話題になることも、あまりなかった気がする。

 Kindleで出てない本というと、概して地味な本が多い。けれども、koboを持っている喜びがしみじみ味わえるのはその種の電子書籍の場合だ。

 能書きはともかく、挙げてみます。紙の本ではなく、電子書籍として、Kindle では手に入らず kobo で手に入る本。なるべく安価な本を挙げます。[以前はその種の電書がいろいろありましたが、現在では次の1点のみしか挙げられません。なにか見つかれば追加します]

実吉捷郎訳『トーマス・マン短篇集』(古典教養文庫


ThomasMannStories


 これは 
Kindle で読めないことが驚き。青空文庫のものをベースに、語句を現代風に改めたりしてある。全部で6編。わずか100円。

 紙の本だと同じ訳者による、初期短編17編を収めた『トオマス・マン短篇集』(岩波文庫)が出ている。


亀井秀雄太宰治津軽テクストの無意識(1)』(オピニオン・ランチャー叢書)


Kamei-DazaiTsugaru


『感性の変革』で著名な文学研究者、
亀井秀雄の本はあまり Kindle で読めない。kobo ではかつて4冊出ていた(ここに挙げた1冊は今は見当たらない)。固定レイアウトePubで、リフローでないから、どちらかと言えばタブレットなどで読むほうが向いている。正直、レイアウトは読みやすくはない。大きなタブレットを縦置きにしてやっと読める。1行が長すぎるので、これ以外の読み方がほぼない。もし、再版されることがあれば、やはりリフロー形式(文字の大きさが可変)でお願いしたい。

 本書は、心温まる回想記として読まれてきた「津軽」について、太宰が実際には「再会したタケとほとんど一言も言葉を交わしていない」ということを指摘し、そこから〈創作〉としての「津軽を論じたもの。内容自体は興味深い。(発売時価格:300円)


トオマス・マン短篇集 (岩波文庫 赤 433-4)
トーマス・マン
岩波書店
1979-03-16