Christy Moore, Uncovered (Sony Music, 2001)

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 参った。これは素晴らしい。

 まるで、同じ部屋で見ているかのような臨場感がある。クリスティ・ムーアの魅力がぎっしり詰まっていて、ファンならこたえられないだろうし、アイルランドのフォーク音楽に関心のある人なら一見の価値はじゅうぶんある。DVD あるいはビデオ・ソフトとして、傑作の部類に入る。

 声とアクースティック楽器(主としてギターなど)だけで、これほど多彩で生き生きした音楽が奏でられるのだ。ほとんど何の加工も味付けもない。まさに素材の魅力だけで 抜群の味がある。

 RTE (アイルランド国営放送協会)でのTV番組6本を収めた DVD ソフトなのだが、番組の制作意図は「歌がスターであるように」だった。制作者の Julian Vignoles は見事な仕事をした。

 本 DVD はリージョン2のPALで、日本の普通の NTSC 用 DVD プレーヤーでは再生できない。解像度は 720 x 576 で、アスペクト(横縦)比は16 x 9。PAL に対応したプレーヤーか、コンピュータの DVD ドライブで再生する方法がある。

 映像も音も美しい。ビデオ・ソフトでも出ているが、本 DVD にはボーナスとして3曲追加されている。

 クリスティのインタヴューが曲と曲とのつなぎに挿まれており、曲への想いが伝わってくる。自伝(Christy Moore, One Voice: My Life in Song, Hodder and Stoughton, 2000)を横に置きながら鑑賞すれば、さらに興味深いだろう。

 収録曲――

  1. Cabaret
  2. The Least We Do
  3. Bright Blue Rose
  4. Delirium Tremens
  5. Voyage
  6. Cry Like a Man
  7. A Pair of Brown Eyes Yellow Triangle
  8. Johnny Don't Go to Ballycollig
  9. Sweet Thames Flow Softly
  10. Ride On; So Do I
  11. Ordinary Man
  12. Lisdoonvarna
  13. Cliffs Of Dooneen

Bonus tracks:

  1. Hiroshima Nagasaki
  2. Black Is the Colour
  3. Song of Wandering Aengus
  4. Missing You
  5. Don't Forget Your Shovel (the archive video)

DVD extra:

  1. One Last Cold Kiss
  2. Biko Drum
  3. McElhatton

 参加アーティスト――

  • Christy Moore (vo, ac-g, bodhran)
  • Donal Lunny (bouzouki, kbd, vo)
  • Declan Sinnott (ac-g)
  • Sinead O'Connor (vo)
  • Shane McGowan (vo)
  • Luka Bloom, Jimmy McCarthy, John Spillane, Johnny Duhan, Neil McColl, Wally Page, Johnny Mulhearn, Jimmy Faulkner, Conor Byrne, Andy Moore, Gavin Moore 

 どれもよいが、ベスト・トラックは強いて挙げれば 'Lisdoonvarna'。別に大名曲というわけではないが、歌を即興でやっているらしいことが一番わかる曲で、ライヴに一番ちかい感じがする。