インタビューでの答え方をみて好きだなと感じた。それがどこから来るのか考えた。すると、ぴったりなのを見つけた。

The insecure person considers his or her place in the world.

insecurity


 最近 Medium のオススメ記事がツボにはまる。〈自分のことを不安定だと思っている人は、世界の中での自分の位置のことを考える〉というふうに受取った。

 ちなみにこの文章の作者イラーンさんは犬をだっこした写真がプロフィール。いかにも「インドア派」。この文章の主旨は〈自分が会った最も偉大な人びとはほぼみんな不安定な人びとだ〉というもの。この人の文体はブローティガンみたいだ。

 北島選手の話にもどると、引退会見でインタビューアが「水泳界に貢献したと自身で考えていることは何ですか」と訊いた。どう答えるかな、と思って聞いていると、「何をいわせたいんですか」と確か、答えた。ああ、この人、自分が置かれている位置、期待されていること、をちゃんと分かったうえで、自分を高くも低くも見積もらない、素晴らしい人だと思った。

 いわばおべんちゃらのような質問に乗っかって有頂天になることなく、冷静に、今の自分に何ができるかを考え、それがはっきりわからないからこそ、あのような答えになったのかもしれないな、と思った。自分が不安定だと自覚しているからこそ、自分が世界の中でどう位置するか、確信がもてない。だから、いつも手探り。不安であることを隠そうともしない。

 コーチからはみんなに好かれる選手を目指しなさいといわれたそうだ。みんなに好かれるのはもちろん、神に嘉される人はこういう人ではないかとふと思う。


愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫)
リチャード ブローティガン
早川書房
2002-08


イラーンさんの文章でまず思い浮かべたのがブローティガンのこの小説。原書の場合、この The Abortion を含む Kindle 版も出ている ↓



BrautiganAbortion