アイルランドの映画 'Sing Street' (2015) を見てきた。見ることができてよかった。

 7月9日に上映が始まったが、もう15日にも終わりそうだったので、大雨の予報だったけど、出かけた。

 そしたら、驚いたことに、館は7割以上うまっていた。みんな、この映画が観たくてしかたないというようすだった。ここしか時間がとれずに無理をしてでもやってきたという感じの人もいただろう。映画の最後のクレジットの画面で立つ人がほとんどいず、みんな最後の音が消えるまでじっと聞いていた。

 基本的に全編音楽が流れる。音楽はすごくいい。女の子にもてるためにバンドをやるという14歳の男子が主人公の青春映画だ。

 監督はジョン・カーニーで「ONCE ダブリンの街角で」同様に素晴らしい映画だった。舞台は1985年のダブリン。

 ぼくがもっとも驚いたのはダブリンの Christian Brothers の学校の姿だ。1985年にこんなだったとは知らなかった。もちろんフィクションという設定だが、おそらく雰囲気はこの映画の通りではないか。

 'Angela's Ashes' で描かれたリムリックの Christian Brothers の学校の姿とはあまりに違うのでびっくりしたのだ。あちらではそこへも入れないくらいの高嶺の花という描かれ方だった。ところが、こちらでは、金がなくて仕方なく行かされる下位の学校という描かれ方だ。あちらは1930年代から40年代だから、半世紀ほどの開きがあるが、それにしても、これほどの違いがあることに驚かされた。

 しかし、カトリックの学校として、神父が運営するという基本は変わらない。1985年の当時でも時代錯誤に思えるほどの厳しい校則と現実の生徒たちの風紀の乱れ。

 主人公のコナーの友人たちが素晴らしい。それよりも、兄の存在が素晴らしい。バンド結成のきっかけとなる女の子ラフィーナも素晴らしい。

 ダメなのは大人たちだ。どうしようもない。と、少年には見えている。それが、1940年代であろうが80年代であろうが、変わらぬ真実なのだろう。

 コナーは、日頃感じていることを歌にする。それをバンド仲間がかっこいい曲に仕上げる。

 オリジナル曲がいいのだが、いちばんの特徴は音質かもしれない。ものすごくいいのだ。ギターをポロンと弾くだけで、あっ、この音、と思わせる。監督のカーニー自身がミュージシャンなので、ミュージシャンが聴きたい音になっている。

 あまりによかったので、無理してもう一度観に行こうかと思ったが、7月26日に米国でDVD(と Blu-ray)が発売された。

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 ところで、Christian Brothers といえば、どうしてもアイルランド語の文法書のことに触れておかねばならない。現在、アイルランド語の標準文法はこの本を見よ、ということになっている。

 ところが、この書のコピュラの捉え方が混乱しているという意見を最近読んだ。

 もし、それが本当なら大問題である。ほとんどの人が当然と思っている前提がくずれる。 


ss